「ニートは楽そうでいいな!」
「ニートになりたいなぁ……」
たしかに、ニートになれば仕事の忙しさや面倒なことから解放されますよね。
しかし、ニートになると世間体が悪くなる、再就職が難しくなるなどの問題が起きやすくなります。
この記事では、ニートになりたいと考えてしまう理由や、ニートになってから起きる4つの問題、ニートになりたい人にやってほしい3つのこと(解決策)などを紹介します。
ニートになりたいと考えてしまう理由
社会人になって働き始めると、さまざまなストレスがかかるため、ニートになりたいと考えてしまうのも無理のないことです
その証拠に厚生労働省の資料(*1)によると、今仕事で不安や悩み、ストレスになっていることがあると答えた人は82.2%もいます。
不安や悩み、ストレスの内容(主なもの3つ以内)を訪ねる項目で多かったのは、仕事の量(36.3%)、仕事の失敗、責任の発生など(35.9%)、仕事の質(27.1%)です。
だから、ニートになりたいと考えてしまう場合は、これらが理由となっている可能性があるよね。
ニートになれば、仕事の忙しさから開放されてストレスがかからなくなるため「楽でいいなぁ」と思うかもしれません。
しかし、いざニートになってしまうと、さまざまな問題が起きてしまいます。
*1 出典:厚生労働省「令和4年 労働安全衛生調査(実態調査) 結果の概要 」
ニートになってから起きる4つの問題
現在働いている人がニートになると、次の問題に悩まされます。
収入を得られなくなる
当たり前のことですが、仕事をしていないと収入は得られません。これは会社員でもフリーランスでも同じです。
また、貯金があっても数年で底をつく可能性が高いといえます。月々の生活費が10万円だとすると、100万円の貯金でも10ヶ月程度で使い果たしてしまいます。
ちなみに、金融広報中央委員会の調査(*2)によると、20代・30代の独身者の平均貯蓄額は以下の通りです。
20代・30代の独身者の平均貯蓄額
平均値 | 中央値 | |
20代 | 176万円 | 20万円 |
30代 | 494万円 | 75万円 |
*2 出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
中央値の方が実態に近いといわれているから、ニートになると安定した生活を送るのはかなり難しそうだね……。
また、安定した収入源がなければ、生活の質が大きく下がることも理解する必要があります。
世間体が悪くなる
ニートになると、悪い意味で自分に対する世間の見方が変わります。例えば、近所の人や家族から冷たい目で見られる場合があります。
さらに、自分が社会に貢献していないと感じると、プライドが傷つきやすいのも特徴です。また、同級生や友人が仕事で成功しているのを見聞きすると、自分とのギャップを感じてしまうこともあるでしょう。
結局、ニートになることで得られる自由は、失うものの重さに比べれば軽いものです。
そのため、自分自身の誇りを失わないためにも、ニートになりたいと思ったら、働くことの意味を見つめ直すことが重要です。
孤独になる
働くことを止めてニートになった場合、人との交流も減ります。職場はお金を稼ぐ場所ではあるものの、人と交流する場所でもあるからです。
これにより、同僚や知り合いとの関係も切れやすくなります。
実際ニートになると、自分から知り合いに連絡は取りにくくなるよね……。
また、長期間の孤独は精神面にも悪影響があります。孤独感から、うつ病などの心の病につながる人もいるためです。
社会とのつながりが薄れることで、自分自身を見失うリスクも高まります。
心の健康を守るためにも、社会的な活動に参加することは大切なことといえます。
再就職が難しくなる
ニート期間が長くなると、再就職も難しくなります。
例えば、長期間働いていないと、企業側は働く意欲が低いと判断しがちです。また、職歴に空白があること自体が、面接でのマイナスポイントになることも。
空白期間が長ければ長いほど、そのイメージは強まります。
さらに、長期間働いていないことで、仕事のリズムや環境に慣れるのが難しくなることもあります。チームワークなど、仕事に関連するスキルが低下するリスクも高まります。
ニートは一時的には楽になるものの、このようにさまざまな問題につながってしまうのです。
ニートになりたい人が準備すべきお金
ニートになりたいと思ったら、ニート期間中に必要なお金を準備しなければなりません。ニート期間中にかかるお金は、主に生活費と税金・社会保険料です。
実際にどのくらいかかるのかを解説します。
生活費
総務省統計局の資料によると、一人暮らしにかかる費用の平均額(1ヶ月)は17万8,434円です。
同資料をもとに、主な支出の平均額をまとめました。
なお、家賃の平均額には持ち家や社宅の場合も含まれているため、一般的な金額とは異なる点に注意してください。
費目 | 1ヶ月あたりの平均額 |
食費 | 40,301円 |
家賃 | 29,695円 |
水道光熱費 | 11,138円 |
通信費 | 7,643円 |
交通費 | 5,980円 |
家具・家事用品 | 5,267円 |
被服および履物 | 6,714円 |
教養・娯楽 | 21,046円 |
*3 出典:総務省統計局「家計調査(単身)勤労者世帯」
税金・社会保険料
日本で生活する場合、何もしていないニートでも税金や社会保険料を払う必要があります。
住民税
住民税は、教育や福祉など、公共サービスをまかなうために使われる税金です。
税率は前年の所得に対して10%(道府県民税・都民税4%、区市町村民税6%)です。
仮に今年ニートになるとしても、昨年収入があれば、6月から住民税の支払いが必要になります。
だから、ニートになってもすぐに税金の支払いが免除されるわけではないんだよ。
住民税を支払わないと延滞金がかかるだけでなく、最終的には財産の差し押さえなどの厳しい措置が取られる場合もあります。
よって、ニート生活を始める前は、将来の住民税負担に備えることも重要です。
国民健康保険
国民健康保険は会社員が加入する健康保険(社会保険)と異なり、自己負担で加入する必要があるものです。
加入すると、病気やケガをしたときに、医療費の一部を負担するだけで病院での治療を受けられるようになります。
未加入の状態が続くと、医療費の自己負担は大きくなるため注意が必要です。
国民健康保険の保険料の金額は、前年の所得に市町村ごとに決められた料率をかけて算出されます。
社会保険の場合は勤務先が半分負担してくれるため、国民健康保険の保険料は高く感じるかもしれません。
国民年金
国民年金は、全ての国民が加入する年金制度です。老後を迎えたときや、病気・ケガで障害が残った場合などに、毎年定期的にお金が支給されます。
20歳以上の国民が対象となり、厚生年金とは違って自営業者やフリーランス、ニートも含まれます。
保険料は1ヶ月あたり1万6,520円(*4)、年間では19万8,240円です。
ただし、まとめて前払いすると、割引が適用されるメリットがあるよ!
ニートになりたい場合は、生活費だけでなくこうした税金や社会保険料を準備しておくことも忘れてはいけません。
*4 出典:日本年金機構「国民年金の保険料」
ニートになりたい人にやってほしい3つのこと
「ニートになりたい」と思う人は、ニートになることでしか今の状況を解決できないと考えるかもしれません。
しかし、ニートになること以外にも、解決できる方法はあります。
最後に、ニートになりたいと考える人にやってほしい3つのことをお伝えします。
転職する
ニートになりたいという気持ちの多くは、職場への不満から生まれます。これに当てはまる人は、転職して環境を変えることが、問題の解決につながる場合があります。
それに、仕事を続けながら転職活動をすれば、さまざまなメリットが得られます。
まず、空白期間を作らずに済むため、転職先が見つかりやすいことです。継続して収入も得られるので、経済的な面で不安にならずに次のステップを考えられます。
転職活動を始める際は、転職エージェントを利用するのも一つの方法です。
転職エージェントは自分に合った求人を紹介してくれるだけでなく、提出書類の添削や面接対策など、転職活動全体をサポートしてくれます。
生活習慣を整える
生活習慣の乱れは、体だけでなく精神面にも悪影響を及ぼします。そのため、ニートになる前に、生活習慣を整えることも重要です。
意識したいのは、健康を維持するための三大要素の睡眠、食事、運動です!
睡眠の質を高めるためには、寝る前のスマホ使用を控えることが効果的です。スマホの光は睡眠を妨げる原因になります。
また、軽い運動はストレスの軽減に役立ちます。そしてバランスの取れた食事を心がければ、心身の健康を維持しやすくなります。
最初から手間のかかることをやる必要はないので、できることから始めてみましょう。
思考の癖を改善する
ニートになりたいといった感情を持つ人は、マイナス思考が癖になっている場合もあります。マイナス思考が続くと、現状からの逃避願望が強まり、ニートになりたい気持ちが高まりやすくなります。
しかし、ニートになることには多くのデメリットが伴うのが現実です。長期間のニート生活は社会的な孤立につながり、将来の就職活動でも大きな障害になります。
マイナス思考を改善するためのコツは、自分の考え方や感じ方に意識的にアプローチすることです。
日頃からポジティブに考えること、小さな成功体験を積むこと、そして自分自身の価値を見つめ直すことが、思考の癖を改善する助けになります。
まとめ
ニートになりたいと考える理由は人それぞれですが、その決断は多くの問題につながります。
収入を得られなくなること、世間体が悪くなること、再就職が難しくなることなどです。また、生活費や税金、社会保険料の準備も必要です。
ニートは楽な存在に見えるかもしれませんが、メリットよりも圧倒的にデメリットの方が多いといえます。
ニートになりたいと思う人は、まずは転職や生活習慣の見直し、マイナス思考の改善などに取り組んでみてください。